バスに乗ったら・・・
トルコでバスに乗ったら、運賃を現金ではなく公共交通機関専用のプリペイドカードで支払います。
バスに乗る前に、日本のSuicaのようなプリペイドカードにあらかじめお金をチャージしておいて、それを乗る時に運転手の横の機械にかざして運賃を払います。
バスの中で現金払いをすることは原則としてできないことになっています。
さて、プリペイドカードをかざす機械ですが、バスの一番前、運転手の真横にしかありません。
雨の日や朝・夕のラッシュ時などバスが混雑する時は、後方のドアからも乗車できるようになっていますが、人混みの中身動きができず、前の機械にまでたどり着けません。
どうしたものか・・・と思って見ていたら、近くの人がわたしに話しかけてくれました。
「カードを前まで送って誰か近くの人にカードを代わりにタッチしてもらうから大丈夫だよ。」
そしてわたしのカードを前の人に渡しました。
前の人はさらに前の人に、そのまた前に人に・・・というようにして、カードは機械のところまでたどり着いたのでした。
わたしが近くのその人に、「カードは無くなったりしないでしょうか・・・?jと尋ねると、その人は、「そんなことないよ、大丈夫」と言いました。
その人が言った通り、機械のところまでたどり着いたカードは、機械にかざされたのち、再び手から手へと受け渡されてわたしのところまで無事に戻ってきたのでした。
お金のチャージされたカードを見ず知らずの他人に預けることに最初はかなり不安がありましたが、ちゃんと自分のところまで戻って来ることに驚き、感心しました。
外では盗難が発生するものですが、トルコではバスなど一定の空間の中で、他人同士であっても人に「託す」ことをした場合、そこに信用・信頼が生まれ得ることが分かりました。
学校の図書館で勉強している時に、近くの席に座る見知らぬ学生から「少しの間席を離れるから荷物を見ていてくれますか。」とお願いされたことが何度かありましたが、これもバスのカードの事例と同じ類のものだと思います。
もちろんすべての人の間で成り立つものではなく、見極めが絶妙なところではありますが、見知らぬ人同士の間に信頼関係が成立するという社会の雰囲気は、なかなかよいものだと思いました。