ひつじの国からメェるはバァ

トルコ☆ローカル☆見聞録

靴の密輸

空港や港、国境には税関があって、そこを商品が通る時は関税を支払うことになっています。関税を払わずにこっそりと商品を持ち込むと密輸になります。

 

個人旅行で関税逃れの方法はいろいろありますが、たとえば外国の企業がトルコに商品を輸出する場合にも、抜け道はいろいろあるようです。

 

例えば、靴。

 例えば中国からトルコのある企業Zに1000足単位で靴が輸出されたとして、港Aには靴の片方だけ着きます。両足揃っていないため不良品扱いになり、関税が取られずに港Aの税関で預かりになります。一定期間がすぎると、非常に低い税率で市場に売りに出されます。片方だけの靴は誰も買いませんが、そこで企業Zがそれらの靴を全て買います。

 

同じ時期またはしばらく経ってから、今度はトルコの別の港Bに港Aに届けられた靴のもう片方が着きます。そこでも同じように、届いた靴は不良品として関税を取らずに税関で一定期間保管された後、市場に売りに出されます。それを同じ企業Zが買い取ります。

 

そうして、港Aと港Bに片方ずつ着いた靴は企業Zに購入されて両足揃った形になります。企業Zはこの方法で関税を払わずに低い税額で靴を輸入できたのです。

 

密輸する人は賢いなあと思う反面、国内の税関同士の情報が共有できていないなんて、国の監査もずいぶん緩いものだなあとも思います。

 

時代をさかのぼることオスマン朝の時代にも、密輸の事例はいくらでもあったようです。

例えば、塩。

 

オスマン朝だけでなく中国でもどこでもそうですが、生活必需品である塩には特別に税金が掛けられることが多く、塩税は国家の重要な財源の一つでした。

塩税から逃れるため、人々はいろいろな方法を考えました。その一つが、革の間に入れて運ぶことです。

 

皮革製品は保存料として塩を使い、革の表面に塩を塗り込めます。この場合、塩自体が商品ではないので、税関を通る時に税金は取られません。

そこで、塩の運搬業者は、税関を通る時に、革と革の間に層のように塩を入れました。外からみると、革が重なって厚くみえるだけで、中に塩が入っていることは分かりません。

こうして、税金を取られずに塩をこっそり運んだそうです。

 

密輸の事例が上がれば上がるほど、本当は政府は密輸を取り締まるつもりはなかったんじゃないかという気がしてきますが、とにかくそこには商業を行う人間の生きる姿が見えてきます。