ひつじの国からメェるはバァ

トルコ☆ローカル☆見聞録

「内」と「外」の世界観 -靴と床/椅子-

日本では家の中に入る時、玄関で履物を脱ぎます。

実はトルコでも同じ。中央アジアなどトルコ系の国でも同じです。

一方、西洋では靴のまま家の中に入ります。

 

もう一つ、家の中で日本と同じものが、床の上に座ること。

もちろん今は椅子に座ることが主流になっていますが、昔の日本では床の上に座布団などを敷いて座っておりました。

 

 

トルコでも、元々は床の上に座って生活していました。

部屋一面に絨毯を敷き、その上にマットのような長い座布団を四方の壁に沿って「ロの字」型に敷き詰めるというもの。昔の人はそこに各々座って、真ん中を囲んでおりました。今でも村の民家で見ることができます。

今でこそ椅子やソファーに座るようになりましたが、リビングには一人用や複数人用のソファーや椅子が、真ん中を囲むように「ロの字」か「コの字」型に置かれ、その上にあぐらをかいたり足を折ったりして座っています。

つまり、人々は床から椅子やソファーに座るようになりましたが、座り方自体は昔と同じなのです。

 

そういえば、椅子に座るよりも地面の上に座った方が体によいという説があります。

筆者の場合、椅子に座るより床に座って本を読んだりする方が、肩や腰が痛んだり、足が疲れたりすることがないようです。

体育の先生にも、走った後は椅子ではなく地面に座って休めと言われていました。

 

地面の上に座ることは、本来人類全体にとって基本であったのでしょう。

実際、西洋をのぞいて世界のほとんどの国では昔から地面の上に座って生活していました。地面を覆って座れるようにするものが、床や絨毯でした。

 

では、どうして西洋だけ椅子に座る文化なのでしょう。

そう考えた時に、思い当たったのが「家の中で靴を脱がない」ことです。

家の中でも外履きで生活するならば、床は汚れてその上に座ることができません。

床から離れて座るためには、高い脚のついた椅子が必要だったのでしょう。

下に座らないのですから、もしかしたらそもそも床というもの自体なかったのかもしれませんね。

 

靴を履いたまま家の外と中を行き来する西洋では、「外」と「内」の区別がなくすべてひと続きと考える世界観であったのでしょう。

 

一方、家に入る時に靴を脱ぐ地域では、「外」と「内」がはっきり分かれている世界観があった、と考えることができます。

そして、それらはそのまま座り方にも影響しました。

 

靴を脱ぐか否か、床と椅子のどちらに座るかは、「内」と「外」の世界観とそのちがいを表わしているのかもしれませんね。